生成AIを用いたHMMERの「PEZY-SC3」及び「汎用CPU」向け高速化実装に成功 ~タンパク質機能解析を支えるhmmscanで約70倍の高速化を達成~

株式会社PEZY Computing(以下、PEZY Computing)と株式会社QuettaAI(以下、QuettaAI)は、バイオインフォマティクス分野で広く利用されているシーケンス検索ツール「HMMER[1,2]」を、PEZY Computingが開発・製造したHPC向けMIMDプロセッサ「PEZY-SC3」及び「汎用 CPU」向けとして高速化実装に成功したことをお知らせいたします。
本プロジェクトは、ソフトウェアエンジニアである小田 俊之(QuettaAI所属)が担当し、最新の生成AI Coding Agent(Claude[3] Code / Opus 5)を全面的に活用することで、複雑なアーキテクチャへのコード改変を迅速に実現しました。

プロジェクトの背景とAIの活用
昨今の生成AIの飛躍的な性能向上により、高度な専門知識を要するハードウェア向けのコード改変や最適化をAIが強力にサポートできるようになりました。
本取り組みでは、Claude Codeに実装プロセスを委ね、HMMERの複雑なコードベースをPEZY-SC3向けに短期間で最適化することに成功しました。
科学技術計算における信頼性を担保するため、計算結果がオリジナル版と100%一致することを条件として開発を行いました。
浮動小数点演算の計算順序が問題となる部分を避け、E-value、bitscoreなど数値部分についても最終出力では厳密に一致することを確認しています。

圧倒的なパフォーマンス向上
各種データセットを用いたベンチマークテストにおいて、劇的な処理速度の向上を確認しました。

・最大約70倍の高速化:
hmmscan処理において、オリジナル版と比較して最大約70倍の高速化を達成しました
(ハイスループットシーケンサー(HTS)由来リード ERR056999[4]を、prodigal[5]により予測した断片5000配列処理時、表1-1)。

・実用的な解析時間の大幅短縮:
PEZY-SC3を4台搭載した環境を使用することで、1 HTSラン(ERR056999をprodigalにより翻訳した全リード262,574配列)のPfam[6]アノテーションが約11分、1細菌プロテオーム(大腸菌プロテオーム、4,403配列)が約27秒(およそ40倍の高速化)という圧倒的な速度で処理可能です。hmmsearchを使用する反転テクニック[7]を使用した場合と比較しても約10倍の高速化となっています(表2-1)。

・CPU使用でも大幅な高速化:
ホスト側コードの独自最適化効果により、PEZY-SC3を使用しないCPU環境下においても、hmmscanで数倍~数十倍の高速化を実現しています。

今後の展開
本プロジェクトで開発された最適化済みソースコードは、オープンソースとして一般公開を予定しております。
PEZY-SC3を含むアクセラレーターを効率的に使用するには高度な専門知識が必要でしたが、近年のCoding AIエージェントの発展により容易にアクセラレーター用コードを実装することが可能となりました。メタゲノム解析をはじめとする膨大な生命科学データ処理のボトルネックを解消し、生命科学分野の研究開発を大きく加速させることが期待されます。
PEZY ComputingとQuettaAIは、今後も最先端のハードウェア技術と人工知能技術を掛け合わせ、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の新たな可能性を切り拓いてまいります。

実行環境、具体的な処理時間等、詳細につきましては下記のPDFをご参照ください。

News  Posted:2026.09.25  Last Updated:2026.09.25